日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベネデン」の意味・わかりやすい解説
ベネデン
べねでん
Edouard van Beneden
(1846―1910)
ベルギーの動物学者。リエージュ大学教授。Pierre Joseph van Beneden(1809―1894、寄生虫や海産生物の研究者)の子。ボベリTheodor Heinrich Boveri(1862―1915)の詳細な研究(1910)に先だち、遺伝における染色体の重要性を、ウマカイチュウでの受精と卵割の観察から提唱した。生物の染色体数は生殖細胞の成熟分裂に際して半減し、受精によりもとに戻ること、生物体各部の細胞はすべて同じ数であり、さらに種に特異的であることを示唆した。彼の研究に近代実験発生学、遺伝学の萌芽(ほうが)をみることができる。主著に『ウマカイチュウにおける有糸分裂の観察』(1887)がある。
[松崎沙和子]