ベネト語(読み)ベネトご(その他表記)Venetic

改訂新版 世界大百科事典 「ベネト語」の意味・わかりやすい解説

ベネト語 (ベネトご)
Venetic

インド・ヨーロッパ語族に属する言語。〈イリュリアのウェネティ〉という古代作家の伝承によって,かつてはイリュリア語派の中心をなすとみなされたが,現在ではイタリック語派の一言語とする説が有力である。その資料はポー川北部から北イタリアに,また東はトリエステ周辺までと,かなり広範囲に出土した約360の碑文で,エトルリア系の文字で書かれている。年代は前6~前1世紀。12語以上の長い碑文がなく,また450ほどの語彙があるにもかかわらず,その半数人名であるため,動詞の活用など不明な点が多い。
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百科事典マイペディア 「ベネト語」の意味・わかりやすい解説

ベネト語【ベネトご】

インド・ヨーロッパ語族に属する言語。ベネチア地方で広範囲に出土した,前6世紀から前1世紀ごろの碑文中の言語で現在は死語イリュリア語の一方言とみなされてきたが,最近ではラテン語との類似からイタリック語派に入れる説が有力。しかし,インド・ヨーロッパ語による確実な語源解釈がつく語彙(ごい)は20足らずしかない。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベネト語」の意味・わかりやすい解説

ベネト語
ベネトご
Venetic language

紀元前にイタリア北東部で行われていた言語。前5~1世紀の約 200の短い碑文によって知られる。インド=ヨーロッパ語族イタリック語派に属するか,イリュリア語に近いかで説が分れている。

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