改訂新版 世界大百科事典 「ベルダンの戦」の意味・わかりやすい解説
ベルダンの戦 (ベルダンのたたかい)
第1次世界大戦における最大の激戦の一つ。1916年にはベルダンVerdunは,ドイツ側に突き出たフランス軍の陣地帯内にあった。ドイツ軍は,ベルダン要塞を攻撃することによって,フランス軍を引きつけて,一大消耗戦を強要し,戦争3年目の16年にフランス国内に出てきた厭戦(えんせん)気運を拡大することをねらった。2月21日攻勢開始,寸土を争う大激戦となり,狭い地域の攻防戦なので損害は大きく,〈吸血ポンプ〉といわれた。ドイツの攻勢は8月まで続いた。その後イギリス・フランス連合軍のソンム攻勢が始まり,フランスは12月にいたりドイツ軍を撃退した。参加兵力はドイツ63個師団,死傷43万4000人。フランスは74個師団,死傷54万2000人。一地点の攻撃を手段として,相手に消耗戦を強いる典型であった。
執筆者:近藤 新治
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