ベーダーンタ・サーラ(読み)べーだーんたさーら(その他表記)Vedānta-sāra

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベーダーンタ・サーラ」の意味・わかりやすい解説

ベーダーンタ・サーラ
べーだーんたさーら
Vedānta-sāra

インド哲学の、シャンカラ系統ベーダーンタ学派の綱要書。15世紀にサダーナンダ同派無明(むみょう)論、宇宙論、個我論、解脱(げだつ)論を総合・折衷的立場から約240の短文に簡潔にまとめたもので、この派の入門書として、近代学者にもっともよく読まれ、研究された。また、本書には、サーンキヤ哲学の三構成要素説などが取り入れられており、サーンキヤ哲学とベーダーンタ哲学との融合が認められる。

[島 岩]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベーダーンタ・サーラ」の意味・わかりやすい解説

ベーダーンタ・サーラ
Vedānta-sāra

インド哲学書の名。 (1) 11世紀,ラーマーヌジャ著。『ブラフマ・スートラ』の注解である『シュリー・バーシュ』を短縮したもの。 (2) 15世紀,サダーナンダ著。シャンカラ派の不二一元論の立場からベーダーンタ哲学の教義を簡潔に論じた綱要書。

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世界大百科事典(旧版)内のベーダーンタ・サーラの言及

【サダーナンダ】より

…1500年ころの人。生涯については不明であるが,不二一元論派の哲学への入門書として有名な《ベーダーンタ・サーラVedānta‐sāra》を書いた。本書は,ベーダーンタ学説の中にサーンキヤ哲学のトリグナtriguṇa(三構成要素)説を取り入れており,サーンキヤ哲学との融合を顕著に示している点で注目をひく。…

※「ベーダーンタ・サーラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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