化学辞典 第2版 「ペルオキソ一硫酸」の解説
ペルオキソ一硫酸(塩)
ペルオキソイチリュウサンエン
peroxomonosulfuric acid(peroxomonosulfate)
カロー酸(Caro's acid)は俗称.過硫酸または過一硫酸は誤称.
酸:H2SO5(114.08).K2S2O8と濃硫酸から,またはHSO3Clと計算量のH2O2からつくる.S中心でSO2(OH)OOHと考えられている.無色の結晶.融点45 ℃(やや分解).室温ではしだいに分解するが,ドライアイス温度ではかなり長く保存しうる.皮膚や眼を刺激する.冷水で分解してH2SO4とH2O2になる.エタノールやエーテルに可溶.酸化剤としてはたらく(KI→ I2).KMnO4を還元するが,TiⅣとの黄色の呈色は示さない.有機物を酸化する.爆発することもある.染料製造,有機合成用(オレフィン→α-グリコール,ケトン→ラクトン,エステルなど),羊毛の防縮加工,漂白剤の製造などに用いられる.[CAS 7722-86-3]
塩:正塩MⅠ2SO5は不安定で得られていない.酸性塩MⅠHSO5は,不安定ではあるが,K塩などが得られている.KHSO5(132.17).低温で濃硫酸とK2S2O8との反応後,計算量のK2CO3の濃水溶液を加えてつくる.固体はS中心の四面体型の [HOO-S(O)3]- を含む.S-O約1.44 Å,S-O2約1.63 Å.固体は室温でも分解して,KHSO4になる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報