ホウオウジャク（その他表記）paradise whydah
Vidua paradisaea

改訂新版　世界大百科事典

ホウオウジャク (鳳凰雀)
paradise whydah
Vidua paradisaea

スズメ目ハタオリドリ科の鳥。全長約15cm，生殖羽の雄の尾羽を含めた全長は約40cm。雌雄異色。雄の生殖羽は頭部と背以下の背面が黒く，後頸（こうけい）から胸にかけて黄色がかった褐色で，腹は白っぽい。中央の4枚の尾羽は長くのび，幅広くなり，とくに2枚は伸長し，2枚はもっと幅広くなり，先端は羽軸が伸長している。雄の非生殖羽と雌には淡黄褐色に暗色の縦斑や小斑が散在している。アフリカ東部から南部にかけて分布し，サバンナに生息する。小群で生活していて，地上で種子を食べる。性的関係はおそらく一夫多妻で，雄は6羽余の雌とつがう。雄は雌の前で，さわがしく叫びながら尾を開き長い尾羽を立てて木の先から先へ飛びながら踊る求愛行動をする。雌は巣をつくらず，他のハタオリドリ科の鳥の巣に卵を産み，雛を育ててもらう。飼鳥としてときどき輸入されるが数は多くない。性質はおとなしい。
執筆者：中村 登流

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

日本大百科全書(ニッポニカ)

ホウオウジャク
ほうおうじゃく / 鳳凰雀
paradise whydah
[学] Vidua paradisaea

鳥綱スズメ目ハタオリドリ科の鳥。同科テンニンチョウ属9種中の1種。この属はアフリカにのみ分布し、ホウオウジャクはスーダン、エリトリア以南、ザンビア、アンゴラ間の樹木の多いサバナに生息する。草本の種子、漿果(しょうか)などを好むが、昆虫やクモなどもとる。全長は雄約39センチメートル、雌約13センチメートルで、黒と栗(くり)色と淡黄色の鳥である。繁殖期の雄は尾羽の中央の2枚が幅広く20センチメートルぐらいに長くなり、かつ先端が細くとがり飛翔(ひしょう)の姿が特徴的となる。近縁の類似種にオビロホウオウジャク、オオホウオウジャクとよばれるものがある。

［坂根　干］

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)