日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボアレーブ」の意味・わかりやすい解説
ボアレーブ
ぼあれーぶ
René Boylesve
(1867―1926)
フランスの小説家。本名はRené Tardiveau。トゥーレーヌに生まれる。地方都市のブルジョア風俗『クロック嬢』Mademoiselle Cloque(1899)、激しい情熱の物語『エリーズ』(1909)、軽妙な『公園での恋の手ほどき』Leçon d'amour dans un parc(1902)など多様な作品で知られるが、根底にはペシミスティックな人生観照がうかがわれる。また、伝統的小説手法から出発しながら、物語と批評との合体ともいうべき、プルーストにも通じる手法を夢想し、不十分ながら『ひと夜君がほしくて』Je vous ai désirée un soir(1925)などに実験を試みている。アカデミー会員。
[小林 茂]