ボスラ(英語表記)Bosra

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボスラ」の意味・わかりやすい解説

ボスラ
Bosra

シリア南西部,首都ダマスカスの南 108kmに位置する古代都市。古くはナバタイ王国 (→ナバタイ人 ) の戦略都市であったが,2世紀初頭,ローマ帝国に征服されてアラビア属州 (→アラビア) の州都となった。トラヤヌス帝の時代にローマ式の都市計画にそった大規模な建築物が次々に造営された。なかでも 5000人を収容する円形劇場半円形のオーケストラボックス,舞台の背後にはコリント式円柱で飾られた壮麗な壁 (スケナエ・フロンス) を備える。7世紀イスラム時代に劇場全体を取り囲む石壁と堀がめぐらされ,十字軍の攻撃を退ける要塞となった。このため劇場の保存状態はきわめてよく,最上階の列柱廊を含め,ほぼ完全な姿で現存する唯一のものとなっている。町はその後,巡礼路からもはずれてすたれたが,その上に現在の町が建設され,ローマ時代の市場や水利施設などが残っている。 1980年旧市街が世界遺産の文化遺産に登録。

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