改訂新版 世界大百科事典 「ポインター種」の意味・わかりやすい解説
ポインター[種]
pointer
鳥猟犬の一種。猟野で獲物を発見すると,これと対峙してポイント,すなわちそのありかを示し,主人に知らせるところから名がついた。イングリッシュ,ジャーマン,スパニッシュ,フレンチ,プードル,ミュンスターランドなど多種のポインターがある。ジャーマン・ポインターには皮毛の異なるショートヘアード,ワイヤヘアード,ラフヘアードの3種がある。日本で広くポインターと呼ばれているのは,イングリッシュとジャーマン・ショートヘアードの2者だが,愛称の意も含め,それぞれ英ポ,独ポと略称することが多い。
イングリッシュ・ポインターEnglish pointerは,セッターと並び猟犬種の王者といわれ,姿態はスマートであるが,脚力,持久力に富み,嗅覚が抜群である。スペインとポルトガルの地犬を基礎にフォックスハウンドとセッティング・スパニエルなどの血液を混えて育種され,18世紀ころ確立された。性格は穏和,体質は筋肉質,被毛は滑らかな短毛である。毛色は白地に黒または肝臓色の斑紋と挿毛,レモン色の斑紋などがある。ジャーマン・ポインターGerman pointerは,猟性能,性質,体形などが英ポと同様であるが,やや骨量に富む。基礎犬,改良血液もほぼ同じであるが,ブラッドハウンドの血液が多く取り入れられたといわれる。眼窩(がんか)上縁のストップは英ポよりやや鋭く,顔貌,体軀(たいく)ともややたくましい。被毛は稠密(ちゆうみつ)でやや硬く,英ポほど滑らかではない。毛色は肝臓色が主で,これに白い葦(あし)毛,挿毛,小さい斑点などがある。独ポのみ全長の1/3程度を残して断尾される習慣がある。ともに雄の体高は60~65cm,体重は25~35kgで,雌はやや小さい中型種。
執筆者:一木 彦三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報