ポスト・ペインタリー・アブストラクション(その他表記)post-painterly abstraction

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ポスト・ペインタリー・アブストラクション
post-painterly abstraction

絵画的抽象以後,の意。 1950年代中ごろから 60年代の,抽象表現主義を新たなスタイルの抽象によって乗り越えようとした画家たちとその作品。この名称は,C.グリーンバーグが 64年にロサンゼルス・カウンティ美術館で企画した展覧会名である。作家によってさまざまなアプローチがあるが,全体として個性的な要素や表現的なブラッシュ・ストロークを嫌い,アクション・ペインティングの無意識的な手法に変えて,クールに計算された形態,明確に区分された,明度の高い澄んだ色彩の領域を設定。触感や他のイリュージョニスティックな要素を排除視覚に純粋に訴える色彩を用い,絵画の物質性を強調した。 M.ルイス,F.ステラ,E.ケリー,L.プーンズ,A.ヘルド,J.オリツキらの作家がある。

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世界大百科事典(旧版)内のポスト・ペインタリー・アブストラクションの言及

【アメリカ美術】より

…これには激しい動きを画面に投入したアクション・ペインティングの一派(J.ポロック,W.デ・クーニング,クラインFranz Kline(1910‐62)ら)と,平面的な色面によるカラー・フィールド・ペインティングColor‐Field Paintingの流れ(M.ロスコ,ニューマンBarnett Newman(1905‐70),スティルClyfford Still(1904‐80),ラインハートAd Reinhardt(1913‐67)ら)があり,両者とも巨大なキャンバスをいっぱいに使った衝撃的な絵画を創造した。 40年代後半から50年代半ばごろまでが抽象表現主義絵画の全盛期だったが,クライン,ポロックの相つぐ死去および抽象表現主義絵画そのものが抱えていた問題によって50年代末から崩壊し,代わってポップ・アートと新抽象(ポスト・ペインタリー・アブストラクションPost‐Painterly Abstraction)の二つが現れる。個人的な主観主義の袋小路に入りこんだ抽象表現派の行きづまりを批判的に乗り越えようとしたのがこの世代で,彼らは抽象表現派が一時的に結びつけたシュルレアリスムとキュビスムを元の姿に解体し,そのうえで時代に対応する新しい方向をさぐった。…

※「ポスト・ペインタリー・アブストラクション」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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