日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポセフ」の意味・わかりやすい解説
ポセフ
ぽせふ
Посев/Posev
亡命ロシア人たちによる社会経済雑誌。1945年、ドイツのフランクフルトで同名の出版社から創刊された。名称は「種まき」を意味する。同誌の主張によれば、言論活動を通じて「ロシアにおける法と自由と公正のための闘争」に参加してきたという。創刊翌年には同じ出版社から「文学、芸術、科学と社会政治思想の雑誌」として『グラーニ』(「境界」の意)が季刊雑誌として創刊されたが、ここではソ連で検閲のために発表できなかったアフマートワ、ブルガーコフ、ブーニン、ウラジーモフ、ボイノービチ、ガーリチ、マクシーモフ、マンデリシュターム、ナボコフ、オクジャワ、パステルナーク、プラトーノフ、ソルジェニツィン、ツベターエワなどの有名作家たちの作品が次々と発表された。
約半世紀の間、ソ連においては非合法で普及し、ソ連の新聞雑誌のなかで「もっとも反ソ的白軍的(反革命的)雑誌」として知られていた同誌は、ソ連崩壊後の1992年からモスクワで公然と発行されるようになった。創刊当時は週刊、1968年からは月刊、90年からは隔月刊となる。2000年夏の発行部数は約3000部。
[大木昭男]