ポピュリスト(読み)ぽぴゅりすと(その他表記)Populist

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポピュリスト」の意味・わかりやすい解説

ポピュリスト
ぽぴゅりすと
Populist

1890年代、アメリカの西部南部の農村地域を基盤として組織された人民党(ポピュリスト党)People's Party, Populist Partyの構成員またはその支持者をいう。南北戦争後、慢性的な農産物価格の下落と生産・流通諸経費の高騰に悩む農民たちは、1870年代から農民間の連帯と協同組合活動を目的とするグレンジ農民連合など農民団体をつくって生活の防衛にあたっていたが、90年代に入ると彼らの間に急激に第三党運動への気運が高まり、91年オハイオ州シンシナティにおいて人民党が結成された。同党は翌92年7月ネブラスカ州オマハで全国党大会を開き、独占反対を旗印に掲げて、鉄道・電信電話の国有化、累進所得税、通貨増発、直接民主主義的諸制度などを要求する急進的な綱領を採択した。人民党は全部で5回、大統領選挙に候補者をたてたが、いずれも敗北した。しかし、J・ウィーバー、W・J・ブライアンをたてた92年と96年の選挙では、西部と南部の諸州で選挙人票を獲得し、善戦した。同党の提案したプログラムのなかには、20世紀に入ってから二大政党の手によって実現されたものが少なくない。

平野 孝]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

山川 世界史小辞典 改訂新版 「ポピュリスト」の解説

ポピュリスト
Populist

アメリカ西部南部の農民を基盤にして結成された第3政党,人民党の党員とその支持者。1892年ネブラスカ州オマハで第1回全国党大会を開いて通貨の増大,鉄道・電信電話の国営化,累進所得税,上院議員の直接選挙などを要求する綱領を採択した。96年の大統領選挙では銀貨自由鋳造を唱える民主党ブライアンを支持するが,彼の敗北後,党勢衰退へと向かう。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

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