知恵蔵 「ポプラ社小説大賞」の解説
ポプラ社小説大賞
本賞が話題になったのは、10年10月31日に発表された第5回の大賞作品『KAGEROU』である。1285の応募作の中から選ばれた本作の作者齋藤智裕が、人気俳優の水嶋ヒロであることが分かり、また受賞前に所属事務所を電撃退社していたこともあって、マスコミの大きな注目を集めた。さらに2000万円の賞金を辞退したことや、ネットや週刊誌で「出来レース」などというバッシングが起こったことから、話題が沸騰。12月15日の発売を前に、40万冊を超える予約注文が殺到した。発売後は、その独特の文体・表現にも話題が集まり、評論家の評価は分かれたものの、通販サイトAmazonでは、星1つの酷評レビューが殺到する「炎上」状態になった。しかし、発売からわずか2週間で、発行部数100万部超。新人の小説としては異例のベストセラーになった。日販マーケティング本部によると、ベストセラーを追う読者が主な購買者で、年代性別では40代女性が最多だったとのこと。なお同社によると、同文学賞は所期の目的が果たされたとして、11年度から「ポプラ社小説新人賞」(大賞の賞金は200万円)に継承される。
(大迫秀樹 フリー編集者 / 2011年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報