ポランスキ(読み)ぽらんすき(英語表記)Roman Polanski

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポランスキ」の意味・わかりやすい解説

ポランスキ
ぽらんすき
Roman Polanski
(1933― )

ポーランド出身の映画監督。パリに生まれたが、幼時に両親と故国ポーランドに帰り、ナチスの収容所を体験する。ウッジの映画学校に学び、『タンスと二人の男』(1958)などの短編で注目を浴び、初の長編『水の中のナイフ』(1962)がベネチア国際映画祭で受賞。イギリスで『反撥(はんぱつ)』(1965)、『袋小路』(1966)、アメリカで『ローズマリーの赤ちゃん』(1968)などを監督、東欧出身の国際的映画作家の地位を確立した。その後、妻を惨殺されたり(1969。シャロン・テート事件)、少女強姦(ごうかん)などのスキャンダルに巻き込まれたが、人間の心の奥底を見つめる残酷なまでの視線には衰えがなく、欧米各国で『チャイナタウン』(1974)、『テス』(1979)、『フランティック』(1988)などを発表、1990年代に入っても3本の監督作がある。2002年『戦場ピアニスト』でカンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞。

[岡島尚志]

資料 監督作品一覧

微笑 Uśmiech zębiczny(1957)
パーティを破壊せよ Rozbijemy zabawę(1957)
殺人 Morderstwo(1957)
タンスと二人の男 Dwaj ludzie z szafą(1958)
灯り Lampa(1959)
天使たちが失墜するとき Gdy spadają anioły(1959)
太った男と痩せた男 Le gros et le maigre(1961)
哺乳動物たち Ssaki(1962)
水の中のナイフ Nóż w wodzie(1962)
世界詐欺物語~「オランダ篇」Le plus belles escroqueries du monde - La Rivière de Diamants(1964)
反撥 Repulsion(1965)
袋小路 Cul-de-sac(1966)
吸血鬼 Dance of the Vampires(1967)
ローズマリーの赤ちゃん Rosemary's Baby(1968)
マクベス The Tragedy of Macbeth(1971)
ポランスキー欲望の館 Che?(1972)
チャイナタウン Chinatown(1974)
テナント 恐怖を借りた男 Le Locataire(1976)
テス Tess(1979)
ポランスキーのパイレーツ Pirates(1986)
フランティック Frantic(1988)
赤い航路 Bitter Moon(1992)
死と処女(おとめ) Death and the Maiden(1994)
ナインスゲート The Ninth Gate(1999)
戦場のピアニスト The Pianist(2002)
オリバー・ツイスト Oliver Twist(2005)
それぞれのシネマ~「エロチックな映画」 Chacun son cinéma - Cinéma Erotique(2007)
ゴーストライター The Ghost Writer(2010)
おとなのけんか Carnage(2011)

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