ローズマリー(読み)ろーずまりー(英語表記)rosemary

翻訳|rosemary

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ローズマリー」の意味・わかりやすい解説

ローズマリー
ろーずまりー
rosemary
[学] Rosmarinus officinalis L.

シソ科(APG分類:シソ科)の低木和名マンネンロウという。地中海沿岸原産で、古くからこの葉をハーブ(香草)として親しんでいる。高さは0.6~1.2メートル、葉は長さ3センチメートルの細い革質で、両縁が裏側に巻き込んでいる。葉の裏面は綿状に毛が密生し、灰色にみえる。4~5月に葉腋(ようえき)に淡紫色花をつけ、香りがよい。この花からとれた蜂蜜(はちみつ)は最上品質とされ、南フランスの名産である。葉には甘い香りがあり、迷迭香(めいてつこう)とよばれる香油をとり、せっけんや香水をつくる。香りの成分はピネンシネオール、竜脳、樟脳(しょうのう)などである。

 日本へは文政(ぶんせい)年間(1818~1830)に渡来したが、あまり栽培されない。4月に実生(みしょう)または挿木株分けで殖やす。暖かい乾燥気候の所でよく育つ。

[星川清親 2021年9月17日]

食品

直射日光を避けて風乾された葉は細く反り返った松葉状で、新鮮な甘い芳香と刺激的なほろ苦さをもち、においだちがよく、かつ長続きするのが特徴である。この強い香味が肉の臭み消しになるので、肉料理にはよく用いられる。各種スープ、シチューや、バーベキューソースなどのつけ焼きのたれにもよく、ポテトカリフラワーなどのゆで野菜にふりかけて食べたりする。口臭除去の効果もある。古代ギリシアの時代からヨーロッパではこのローズマリー頭脳を明晰(めいせき)にし、記憶力を増す力があると信じられ、また魔女や悪魔除(よ)けにも使われていたという。

[齋藤 浩 2021年9月17日]

文化史

ローズマリーはラテン語のロスマリヌスRosmarinus(海のしずく)に由来し、海に面した崖(がけ)に多いことから名づけられた。古代のローマで栽培され、花冠に編み、ギリシアでは体を暖める薬として飲用した。中世のイギリスやフランスでは死者に持たせ、葬儀には小枝を持って参列し墓に投げ入れた。結婚式には、香水をかけ、金粉をまぶして飾った。シェークスピアは『ハムレット』でオフィーリアにローズマリーを持たせ「忘れないでね」と語らせる。花言葉の一つは「変わらぬ愛と思い出」。

[湯浅浩史 2021年9月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ローズマリー」の意味・わかりやすい解説

ローズマリー

「マンネンロウ(万年蝋)」のページをご覧ください。

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