まうし(読み)マウシ

デジタル大辞泉 「まうし」の意味・読み・例文・類語

まうし[助動]

[助動][○|まうく・まうかり|○|まうき|まうけれ|○]動詞の未然形に付く。希望しない意を表す。…したくない。…するのがいやだ。
「この君の御童姿、いと変へまうくおぼせど」〈桐壺
[補説]希望の助動詞「まほし」の反対の意を表す語で、「まし」の意。希望の助動詞「まほし」が「ま欲し」と理解され、その類推として成立した。推量の助動詞「む」の未然形「ま」に接尾語「く」が付き、さらに、形容詞「憂し」が付いた「まくうし」の音変化とみる説もある。中古・中世の仮名文学を中心に用いられた。

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精選版 日本国語大辞典 「まうし」の意味・読み・例文・類語

まうし

  1. 〘 助動詞 〙 ( 活用は「◯・まうく(まうかり)・◯・まうき・まうけれ・◯」。ク活用型活用(動詞型活用の未然形に付く) ) その動作をするのに、気分が進まないという意を表わす。それをする気がおこらない。…したくない。
    1. [初出の実例]「いと返り事せまうけれど、『なほ年の始めに腹立ちなそめそ』など言へば」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)

まうしの語誌

( 1 )平安中期から鎌倉時代まで用いられた。用例はあまり多くない。「まほし」の反対語
( 2 )語源については、「まほし」が「まく欲し」から出たと同様、「まく憂し」から変化したと考えられる。しかし、「まく憂し」の形は実例がないので、「まほし」の成立後、その類推によって生じたものと見られる。

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