日本大百科全書(ニッポニカ) 「マカルー山」の意味・わかりやすい解説
マカルー山
まかるーさん
Makalu
ネパールと中国チベット自治区との国境上にそびえる世界第5位の高峰。標高8463メートル。エベレスト山の南東約20キロメートル、ヒマラヤ山脈の主軸上に位置する。ピラミッド状の堂々とした山容から、かつては東方から眺めたときエベレスト山と間違えられた。北西4キロメートルの尾根上のマカルー山第2峰(7640メートル)とともに、険しい氷壁に覆われ接近がむずかしい。「マカルー」とは、チベット語の「カマルー」(カマ渓谷にある峰)の転語ではないかという説や、サンスクリット語の「マハーカラー」(ヒンドゥー教のシバ神の化身)のなまったものという説がある。地質学的には片麻(へんま)岩か花崗(かこう)岩からなるといわれる。この山を初登頂したのはフランス隊(隊長ジャン・フランコJean Franco、1914― )で、1954年の偵察のあと、翌55年北西稜(りょう)から隊員が全員山頂に達した。これは当時のヒマラヤ登山では初めてのことであった。1970年(昭和45)日本山岳会東海支部隊(隊長原真(はらまこと)、1936― )が南東稜から第2登に成功し、続いて71年、フランス隊(隊長ロベール・パラゴRobert Paragot)が西稜から第3登を達成した。
[金子史朗]
『J・フランコ著、近藤等訳『マカルー』(1956・白水社)』▽『日本山岳会東海支部マカルー学術遠征隊著『遥かなる未踏の尾根』(1972・茗渓堂)』▽『ロベール・パラゴ、ヤニック・セニュール著、尚俊訳『マカルー西稜』(1975・山と渓谷社)』▽『日本山岳会マカルー登山隊1995編『マカルー東稜――日本マカルー登山隊1995報告書』(1997・山と渓谷社)』