仏がかりに現した姿をいう。サンスクリット語ニルマーナカーヤnirmāakāyaの訳。変化した身体の意。変化身(へんげしん)ともいう。仏の三身(法身(ほっしん)、報身(ほうじん)、化身(けしん))の一つで、仏が生きとし生けるものを救済しようとして、その生きものと同じ姿をとったものをいう。教化すべき人々の能力や素質に応じて現れる身体という意味から、応身(おうじん)とも漢訳される。
英語のインカーネーションincarnationの訳語としての広義における化身の概念は、神や仏、あるいは超自然的、超人間的存在が、ある目的のために、一時的ないし継続的に人間や動物などの形相(けいそう)をとってかりに姿を現したものの意。キリスト教では、イエスは人間救済のための神の化身とみなし、インカーネーション(託身(たくしん)、受肉(じゅにく))と称する。
[坂部 明]
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…大乗仏教になって仏身に関する思索が深まり,中観派の竜樹,さらには瑜伽行派の弥勒(マイトレーヤ),無著,世親らの論師たちによって最終的に3種の仏身をたてる〈三身説〉が成立した。三身とは(1)法身(ダルマ・カーヤdharma‐kāya),(2)報身(サンボーガ・カーヤsambhoga‐kāya),(3)応身(化身,ニルマーナ・カーヤnirmāṇa‐kaya)の3種,あるいは(1)自性身(スババーバ・カーヤsvabhāva‐kāya),(2)受用身(サンボーガ・カーヤsambhoga‐kāya),(3)変化身(ニルマーナ・カーヤnirmāṇa‐kāya)の3種をいう。これら三つは論師あるいは宗派によって微妙に解釈を異にするが,前者の三身を略説すると次のごとくである。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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