ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マサイス」の意味・わかりやすい解説
マサイス
Massys, Quentin
[没]1530. アントウェルペン
フランドルの画家。前半生については明らかでないが,作品にしばしばイタリア的建築が描かれ,またレオナルド・ダ・ビンチの肖像画の影響が現れていることから,おそらくイタリアに旅行したものと考えられる。1491年アントウェルペンの聖ルカ画家組合に加入,以後同地で活躍。画面を一様に満たすなめらかな彩色によって,北方絵画の伝統的な緻密な線的描写とイタリア的な新しい形体感とを効果的に融合させた独特の画風を確立し,アントウェルペン派を代表した。作品は,『聖アンナの祭壇画』(1507~09,ベルギー王立美術館),アントウェルペン大聖堂祭壇画『キリストの埋葬』(1508~11,アントウェルペン王立美術館),『両替屋とその妻』(1514,ルーブル美術館),『エラスムスの肖像』(1517,ローマ,バルベリーニ宮)。2人の息子ヤンとコルネリスも父の跡を継ぎ,風俗画家となった。
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