マザマジカ(読み)まざまじか(英語表記)mazama

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マザマジカ」の意味・わかりやすい解説

マザマジカ
まざまじか
mazama
brocket

哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目シカ科マザマジカ属マザマジカ亜属に含まれる動物の総称。この仲間は、中央・南アメリカに分布する小形のシカ類で4種がある。頭部、頸(くび)、尾などは短く、背線は腰高で丸まった感があり、分枝しない短い角をもつ。マザマジカMazama americanaはメキシコ中部からパラグアイ、アルゼンチン北部の森林にすむ。体長95~135センチメートル、肩高65~75センチメートル、体重20~25キログラム。ハイイロマザマジカM. gouazoubiraユカタン半島からアルゼンチン中部の茂み草原にすむ。体長90~125センチメートル、肩高60~70センチメートル、体重17~23キログラム。ヒメマザマジカM. nanaはコロンビア、ベネズエラ、アルゼンチン、パラグアイ北部、ボリビアの森林、丘陵地にすむ。体長90~100センチメートル、肩高40~50センチメートル、体重10~20キログラム。コビトマザマジカM. briceniiはベネズエラ西部、ボリビア北西部、ペルー南部の標高1000~3000メートルの高地に分布し、森林や茂みにすむ。体長72~92センチメートル、肩高35~40センチメートル、体重8~12キログラム。

増井光子


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「マザマジカ」の意味・わかりやすい解説

マザマジカ
mazama
brocket
Mazama americana

偶蹄目シカ科の哺乳類。小型で最小のシカであるプーズーに似るが,やや大きく,ふつう頭頂部と目の前方に毛のうずがあるのが特徴。顔は細長く,一部の個体には上あご犬歯がある。角は短く,枝はない。体色は,背側が美しい光沢のある橙色ないし赤褐色,あご,首,下腹部,四肢の内側が白色。体長95~135cm,肩高66~75cm,尾長10~15cm,体重17~23kg。マザマは原住民による呼称。メキシコ中部からボリビア,パラグアイ,アルゼンチン北部にかけての森林にすむ。昼間は茂みなどで休み,夜間林縁部に出て植物を食べるが,ときに畑地に進出してジャガイモトウモロコシなどの作物を食害することがある。単独性で,交尾時のごく短期間だけ雌雄で過ごす。繁殖期は一定せず,妊娠期間は7ヵ月半。1産1子を生む。寿命は7~9年。
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