マス・コミュニケーション過程(読み)マス・コミュニケーションかてい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

マス・コミュニケーション過程
マス・コミュニケーションかてい

大別してメッセージの送出過程,搬送過程,受容過程から成り,送り手媒体→送り内容→受け手→効果という流れを設定することができる。現代における特質は,以下の諸点に求められる。 (1) 送り手と受け手との間に機械技術手段が介入することによって,コミュニケーション少数の送り手から大量かつ多様な匿名の受け手に向ってなされる。 (2) そのコミュニケーションは送り手から受け手への一方通行である。 (3) 現代におけるマス・コミュニケーションは最高度の機械技術体系に依存することによってはじめて可能であることから,送り手の活動は巨大な機構から成る組織体においてなされ,共同的な集合的活動となる。しかも,資本主義社会においては,その活動の大部分商業主義原則に基づいて行われ,商品の生産として現れる。 (4) マス・コミュニケーション活動は不断の活動としてのリズムをもっており,さらにこのリズムを享受することが受け手の生活のなかで習慣化することによって,受け手の生活構造は,マス・コミュニケーション活動のリズムで秩序化されるという事態が生れる。したがって (5) マス・メディアへの接触習慣に変調が生じると,一種禁断症状が生じることがある。また (6) マス・コミュニケーション・プロセスは,一定の受信能力をそなえたすべての受け手に対して開かれたものであるといえる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android