改訂新版 世界大百科事典 「マドゥラ族」の意味・わかりやすい解説
マドゥラ族 (マドゥラぞく)
Madurese
インドネシア共和国を構成する約250の諸民族中,人口規模の大きいものの一つで,ジャワ島北東海岸に接するマドゥラ島に住む。ジャワ島のスラバヤ,マラン以東の東端部にも大量に移住し,現在ではマドゥラ島居住者を数でしのいでいる。総人口は600万~700万(1982)と推計され,アウストロネシア語族インドネシア語派に属するマドゥラ語を使用する。マドゥラ島は乾燥し土地がやせていて水田に乏しく,陸稲,トウモロコシ,タバコなどの生産が中心で,牛の牧畜,漁業,鎌や刃物の生産も盛んである。マドゥラ族は隣接し,また混住するジャワ族とつねに対比され,個人の独立心が強く活動的で,イスラムの信仰により熱情的であると特徴づけられる。また個人の武勇に高い価値が置かれ,伝統的に血の復讐の慣習が行われてきた。過去にはジャワの諸王やオランダ植民者にマドゥラ族の軍隊が重用された歴史をもつ。
執筆者:関本 照夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報