まのあたり

精選版 日本国語大辞典 「まのあたり」の意味・読み・例文・類語

ま‐の‐あたり

[1] 〘名〙 (形動) (「目(ま)の辺り」の意)
① ちょうど目の前であること。また、そのさま。目前
※大唐三蔵玄奘法師表啓平安初期点(850頃)「聖上の親(まのあタリ)鑾の輿を降し、青蓮の目を開けり」
② 親しく、じかに接すること。
源氏(1001‐14頃)帚木「え対面たまはらぬ。まのあたりならずとも、さるべからん雑事らは承はらん」
③ はっきりと、見たり聞いたりすること。実際に出現すること。また、そのさま。
太平記(14C後)一五「新羅大明神親(マノアタ)りに船の艫に化現して」
④ 事態がそのようになることがきわめて、はっきりしているさま。自明のこととして受けとられるさま。
※評判記・色道大鏡(1678)凡例「後人のそしりまのあたりなれど」
[2] 〘副〙
① ある事態を目前にしているさまを表わす語。
(イ) 眼前に。目の前に。相対して。
書紀(720)舒明即位前(図書寮本訓)「是日、大臣の病、動(おこり)て、面(まのあタリ)桜井の臣に言ふこと能はず」
(ロ) 相手にじかに接し親しむさまを表わす語。親しく。
史記抄(1477)九「此様にまのあたり従て巡て祭り
事実として歴然としているさまを表わす語。現に。実際。現実に。
発心集(1216頃か)三「か様の行にてをはりを取人、まのあたり異香にほひ、紫雲たなびきて」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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