最新 地学事典 「マルコフ解析」の解説
マルコフかいせき
マルコフ解析
Markov chain analysis
ある時刻の状態が前の時刻の状態だけに依存するような確率過程をマルコフ過程というが,岩相や堆積相の積重なりをマルコフ過程(またはその結果)とみなして,さまざまな岩相の垂直的推移のうち,統計的に有意なものを認定することで,堆積サイクルを読み取るために用いられる統計的手法。野外で観察された岩相について,その数と個々の岩相の上位にどの岩相が累重するかを観察し,その推移頻度から,実際に観察される推移確率行列と岩相の推移がランダムである場合の推移確率行列を求め,前者から後者を減じて得られる差行列において,正の値をもつ推移については,なんらかの必然性があると判断する。なお,差行列の値の大小を個々の推移の有意性の指標に用いることが多いが,この値が正であることは,必ずしもその推移が統計的に有意であることを意味しない。有意性の判定のためには,個々の推移の二項確率を求めることが必要である。また,岩相や堆積相の累重が本当にマルコフ過程であるかについての疑問や,境界面の取扱い方の問題など,いくつかの理由で,マルコフ解析を地質過程に適用することは誤りであるという意見もある。
執筆者:久富 邦彦
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

