20世紀西洋人名事典 「マルセルアルラン」の解説
マルセル アルラン
Marcel Arland
1899.7.5 - 1986.1.12
フランスの小説家,批評家。
フランス東北部オート・マルヌ県ヴァレンヌ・シュル・アマンス生まれ。
父の死後兄と共に母に育てられ、暗い家庭で孤独な生活を送ったが、この故郷での生活が「生まれた土地」(’38年)をはじめ多くの作品に反映されている。ソルボンヌに学んだが飽きたらず、ダダイスムの影響を受け、’22年に書いた「見知らぬ土地」でジッドに認められ、「新世紀病について」(’23年)で批評家として知られるようになった。「不安の文学」の代表作である「秩序」(’29年)は戦後の不安焦燥の時代を背景に青年の精神的彷徨を自己反省や複雑な心理を通して表現した傑作で、ゴンクール賞を受けた。彼の本質たるモラリストの態度を失うことなく、ヒューマンな身にしみいるような叙情性をたたえた独自の作風を作り出している。
出典 日外アソシエーツ「20世紀西洋人名事典」(1995年刊)20世紀西洋人名事典について 情報