ゴンクール賞(読み)ゴンクールしょう(英語表記)le Prix Gouncourt

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴンクール賞」の意味・わかりやすい解説

ゴンクール賞
ゴンクールしょう
Prix Goncourt

フランス文学賞。エドモン・ド・ゴンクール遺志によって 1902年に創設されたアカデミー・ゴンクールの 10名の会員が,過去1年間に現れた「若さと大胆さと才能」を最もよく示す「散文の創作」を決定し,毎年 11月の第3月曜日 (かつては 12月の初め) に授賞を行う。フランスにおける最も古く権威ある文学賞として,文学界における影響力はきわめて大きい。初期には遺言者の意志を重んじて写実的,自然主義的作風の作品が選ばれたが,徐々にその傾向は薄れた。おもな受賞作品は,バルビュスの『砲火』 (1916) ,プルーストの『花咲く乙女たちのもとに』 (19) ,マルローの『人間の条件』 (33) ,ボーボアールの『レ・マンダラン』 (54) ,バイヤンの『掟』 (57) ,ピエール・ド・マンディアルグの『余白の街』 (67) ,トゥルニエの『魔王』 (70) ,デュラスの『愛人』 (84) など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴンクール賞」の意味・わかりやすい解説

ゴンクール賞
ごんくーるしょう
le Prix Gouncourt

エドモン・ド・ゴンクールの遺言により、1903年に創設されたフランスの文学賞の一つ。その年のもっとも優れた散文作品を書いた若い作家を対象として、毎年11月末、10名の選考委員からなるアカデミー・ゴンクールから受賞作品が発表される。賞金はわずかだが、受賞作品は10万部以上売れるベストセラーになるのが通例である。散文作品といっても、これまではもっぱら小説のみが受賞対象となり、受賞者も、1967年58歳で受賞したマンディアルグの例もあるように、かならずしも若い作家だけに与えられるわけでもない。おもな受賞作品は、プルースト『花咲く乙女たちのかげに』(1919)、マルロー『人間の条件』(1933)、ボーボアール『レ・マンダラン』(1954)など。

[西永良成]

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