マルチ・ナロービーム音響測深機(読み)マルチナロービームおんきょうそくしんき

百科事典マイペディア の解説

マルチ・ナロービーム音響測深機【マルチナロービームおんきょうそくしんき】

海底地形図の作成などに活躍する最新・高精度音響測深機船底から船真下の左右45度程度の範囲で,きわめて狭い(ナロー)指向角の音波を,16〜60本(マルチ)同時に送受信することで,深度を計測する。従来測深機は,船真下の深さしか測れず,また指向角が広すぎて正確な測深が困難だった。もともとはアメリカ海軍が軍事用に開発したものだが,その後民間開放。日本でも,海上保安庁水路部の測量船拓洋〉,海洋科学技術センターの海洋観測船かいよう〉,東京大学海洋研究所の海洋研究船〈白鳳丸〉などに採用されている。→音響測深海洋観測船

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知恵蔵 の解説

マルチ・ナロービーム音響測深機

船底から下横向きに、船体中心軸に対し角度で120度以上の範囲に超音波を発信し、その超音波の海底からの反射波を1度角以内の精度で方向を検知しながら受信・記録し、海底地形を自動作図できる装置起伏の激しい海底でも測定誤差を数m内に収めることが可能であると同時に、海底地形を水深の2倍以上の幅にわたって一気にリアルタイムで作図(swath mapping、芝刈り機方式の測深ともいう)でき、地形測量の精度と能率を抜本的に向上させた。

(小林和男 東京大学名誉教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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