マンデ諸族(読み)マンデしょぞく(英語表記)Mande

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マンデ諸族」の意味・わかりやすい解説

マンデ諸族
マンデしょぞく
Mande

スーダン西部のサバナ地帯を中心に,ギニアシエラレオネリベリアコートジボアール,ガーナ,ブルキナファソ,ナイジェリアの熱帯雨林地帯にまで広く分布する,ニジェール=コンゴ語派のマンデ諸語を話す人々の総称。マリ Mali,マンディンゴ Mandingoとも呼ばれる。最も典型的な民族集団は,バンバラ族マリンケ族ソニンケ族である。マンデ諸族は前4000~前3000年頃から独自に農耕文化を発展させてきたと考えられており,それを基盤として西アフリカの初期の高度な文明が生まれた。たとえばガーナ王国や,14世紀には早くも繁栄をきわめていたマリ帝国などがある。農業は移動耕作によるが,ときには灌漑も行なわれる。モロコシ,米が主穀物で,威信を表すため,あるいは婚資の支払い用としてウシも飼育される。交易も経済的に重要で,地域的な交易から遠くの他民族やアラブ人との交易まで行なわれる。系譜や相続は父系制で,婚姻は一夫多妻婚で外婚制がみられる。社会構造は特にイスラム教徒の間では,しばしば王族や貴族から平民,さらにかつては蔑視された工芸家階層や,元奴隷にいたるまでの著しい階級制度がみられる。一般に伝統的な死者祭祀や占いが行なわれるが,イスラム教徒も多い。

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