マリ帝国(読み)マリていこく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マリ帝国」の意味・わかりやすい解説

マリ帝国
マリていこく
Mali empire

13~16世紀に栄えたマリンケ族の帝国。 11世紀末にガーナ王国衰退したのち,この地域に勢力圏をもっていたスス族支配に反抗し,1240年頃これを打破したマリンケ族のスンディアタ始祖と伝えられる。マンサ・ムーサ (在位 1307~32?) は,14世紀にトンブクトゥガオなどの交易都市,さらにサハラ砂漠南縁のウアラータ,岩塩の産地タカザなどの都市を支配下に収め,1324年にはなやかなメッカ巡礼を行なって「黄金の帝国マリ」の名を広めた。首都はいくつもあったらしく,同一王朝遷都,王朝の交替消長を繰返し,どこに首都があったのかは不明である。 14世紀にはジュラあるいはワンガラと呼ばれるマリの交易商人たちが西アフリカ全体に勢力圏を拡大したが,その後は衰退への一途をたどった。ガオの反乱 (1400頃) ,トゥアレグ族によるウアラータとトンブクトゥの侵略 (1431) などにより,マリ帝国は 1550年に滅亡した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マリ帝国」の意味・わかりやすい解説

マリ帝国
まりていこく

西アフリカ内陸部、ニジェール川湾曲部を中心に、12世紀ごろ建設されたマリンケ人の帝国。伝承によれば、紀元後数世紀に建設され繁栄したガーナ帝国の支配下にあったマリは、ガーナ帝国の勢力の衰退につれてトンブクトゥを中心に台頭した。スンディアタ王のもと、西はガンビア、東はニジェール川沿岸のガオ、北はサハラ南縁のサハラを越えてくるアラブ人隊商の基地、南はニジェール川上流のバンブフ、ブレの金鉱まで、広大な地域を支配下に収め、ガーナ帝国にかわってサハラ縦断交易を独占することになった。1324年ムサ王は、メッカ巡礼を行ったが、その際彼が携行した巨額の金(きん)によって、マリ王国の名はヨーロッパにまで知れ渡った。しかし、15世紀初頭から相次ぐ内乱でしだいに勢力が衰え、16世紀までにはこの地域の覇権は、ソンガイ帝国の手に移った。

[原口武彦]

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