日本大百科全書(ニッポニカ) 「マース川」の意味・わかりやすい解説
マース川
まーすがわ
Maas
フランス北東部に源を発し、ベルギー、オランダを通って北海へ流入する国際河川。ローマ時代の古称はモサMosa川。オランダではマース川とよばれるが、上・中流部のフランス語地域ではムーズMeuse川とよばれ、その英語読みはミューズ川。全長約950キロメートル、流域面積約3万6000平方キロメートル。ロレーヌ地方のラングル高地を水源とする。ベルギーのアントウェルペン(アントワープ)とはアルバート運河で結ばれるなど、内陸水運の幹線として重要で、フランスのセダンまで航行可能。中流部ではベルギー炭田が広がり、リエージュ、ナミュールなどの工業都市が立地する。上流部は戦略上の防衛線として重要で、843年のフランク王国分割条約や第一次世界大戦の激戦地として有名なベルダンをはじめ、多くの要塞(ようさい)都市がある。
[長谷川孝治]