日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムシクソハムシ」の意味・わかりやすい解説
ムシクソハムシ
むしくそはむし / 虫糞金花虫
[学] Chlamisus spilotus
昆虫綱甲虫目ハムシ科に属する昆虫。本州、四国、九州に分布する。体長3ミリメートル前後。毛虫の糞(ふん)に似て背面には凹凸があり、黒色で部分的に褐色、光沢がない。頭や脚(あし)は縮めると体のくぼみにはまり込む。初夏に現れ、コナラ、クリなどの葉上にみられ、雌は逆立ちして脚で卵を糞に包んで虫糞形にし、柄をつけて葉上に立てる。幼虫は烏帽子(えぼし)形の殻をかぶって歩く。この類は科のなかでコブハムシ亜科を形成しており、日本にもこの種類と同じ属の類似種が10種近く産するが、カシ、ツツジ、ヤブツバキ、アザミ、ホウロクイチゴなど、それぞれの食害する植物が違っており、体長、体形、背面の凹凸に相違がある。
[中根猛彦]