むとす(読み)ムトス

デジタル大辞泉 「むとす」の意味・読み・例文・類語

む‐と◦す

[連語]推量助動詞「む」+格助詞「と」+サ変動詞「す」》「むず」に同じ。
「いとはつらく見ゆれど、志はせ―◦す」〈土佐
[補説]意志意向を表す場合以外は「む」の強め。

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精選版 日本国語大辞典 「むとす」の意味・読み・例文・類語

む‐と‐・す

  1. 〘 連語 〙 ( 推量の助動詞「む」に、格助詞「と」、サ変動詞「す」の付いたもの。「むず」のもとになる形 )
  2. すぐに実現しそうな事態の予想・推量、話し手の決意などを、客観的な立場から表わす。…しようとしている。…しようと思う。んとす。
    1. [初出の実例]「狭井河よ 雲立ち渡り 畝火山 木の葉さやぎぬ 風吹か牟登須(ムトス)」(出典古事記(712)中・歌謡)
  3. ( 「為」の字に「ため」「す(る)」の二つのよみがあるのを利用して、「…せむ為(ため)に」を「…せむと為(す)るに」と読んだところから ) …する目的での意の表現中に用いられる。
    1. [初出の実例]「食を儲けて此等に備へむと為(す)るに」(出典:今昔物語集(1120頃か)九)

むとすの語誌

( 1 )和文にも古くから見られ、必ずしも漢文訓読語とはいえないが、中古以来漢文訓読系の文体で多く用いられる。
( 2 )「むとす」が変化したとされる「むず」は会話文や心中の思いを述べる文に、「むとす」は地の文に用いられるという傾向がある。
( 3 )漢文の訓読には、副詞「まさに」と呼応して用いられることが多い。鎌倉時代には「将」「且」などを「まさに…むとす」と再読する訓法が固定した。

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