ムラユ(その他表記)Melayu

改訂新版 世界大百科事典 「ムラユ」の意味・わかりやすい解説

ムラユ
Melayu

インドネシアスマトラ東部に7世紀後半から興った国。現在のジャンビ付近とされる。マラユMalayuとも書く。漢籍には末羅瑜,末羅遊などと記され,中国の仏僧義浄は,隣接する大国スリウィジャヤに併合されたか,またはその首都がここに移動したように書いている。そしておそらく12世紀末ごろからパレンバンをしのいで王国の中心となったらしい。その後彼らの一部はスマトラ西岸に進出して,現在のミナンカバウ族となり,また一部はマラッカ海峡を渡ってマレー半島西岸に住みつき,今日この地がマレーマライ)半島と呼ばれる素地をつくった。彼らの国語であるマレー語は,敬語などが少なく日常会話に便利であったところから,その活発な商業活動によって,マレー半島からインドネシアのほぼ全海岸地方に広まり,取引のための公用語となった。このことはインドネシア民族主義運動における共通語の決定を容易にさせ,現在ではインドネシア,マレーシアはこの言語を国語としている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ムラユ」の意味・わかりやすい解説

ムラユ
Melayu

インドネシア,スマトラ島東岸のトゥラナイプーラ (ジャンビ) に7世紀後半頃勃興した国。マラーユともいう。長い間隣国シュリービジャヤ王国支配下にあったが,13世紀頃強勢となった。中国文献では,末羅瑜,摩羅瑜などと書かれ,11世紀後半にはせん卑国として宋に入貢した。 1286年にジャワクルタナガラ王よりムラユ王に贈られた不空羂索像がハリ川上流から発見されている。スマトラのヒンドゥー文化はこの国を最後として,イスラム文化圏に入った。

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