メキシコウサギ(読み)めきしこうさぎ(その他表記)volcano rabbit

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メキシコウサギ」の意味・わかりやすい解説

メキシコウサギ
めきしこうさぎ
volcano rabbit
[学] Romerolagus diazi

哺乳(ほにゅう)綱ウサギ目ウサギ科の動物。メキシコ市近郊の火山中腹にのみ分布する。体長28~31センチメートルの小形のウサギで、短く丸い耳が特徴的である。原地で「サカトン」とよばれる草に強く依存し、その新芽を食べる。地中に穴を掘ってすむが、サカトンの茂み通り道をつくってよく利用する。アマミノクロウサギアカウサギとともにムカシウサギ亜科に属する生きた化石的存在である。保護されているが、インディオ食用にとらえるので絶滅が心配される。最近では日本などで実験動物化されつつある。

[林 良博]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

小学館の図鑑NEO[新版]動物 「メキシコウサギ」の解説

メキシコウサギ
学名:Romerolagus diazi

種名 / メキシコウサギ
科名 / ウサギ科
解説 / ウサギのなかまで最小。巣あなをほり2~5頭の群れで生活します。ナキウサギのようによく鳴きます。
体長 / 27~32cm/耳長4~4.4cm
体重 / 380~600g
食物 / ザカトーンという草の葉や茎
分布 / メキシコ市近郊の草原
絶滅危惧種 / ☆

出典 小学館の図鑑NEO[新版]動物小学館の図鑑NEO[新版]動物について 情報

世界大百科事典(旧版)内のメキシコウサギの言及

【ムカシウサギ(昔兎)】より

…ウサギ目ウサギ科ムカシウサギ亜科Palaeolaginaeの哺乳類の総称。始新世後期(約4000万年前)に出現し,漸新世から中新世にかけてアジアと北アメリカで栄え,13属が知られたが,鮮新世末に出現し,洪積世に栄えたウサギ亜科のものに生活の場を奪われてほとんど絶滅し,今日ではアマミノクロウサギPentalagus furnessi(英名Ryukyu rabbit)(イラスト),3種のアカウサギPronolagus(英名red rabbit),およびメキシコウサギRomerolagus diazi(英名volcano rabbit)の3属5種が残存するのみである。いずれも下あごの第3前臼歯(ぜんきゆうし)の構造に著しい特徴がみられ,その歯を咬面(こうめん)から見ると内側と外側から深い切れ込みがあり〈呂〉の字形を呈し,〈コ〉の字形のウサギ亜科のものと異なる。…

※「メキシコウサギ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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