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草の葉 くさのはLeaves of Grass

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

草の葉
くさのは
Leaves of Grass

アメリカの詩人ウォルト・ホイットマン詩集。 1855年初版。版を重ねるごとに収載編数を増し,初版にはわずか 12編の詩を収めるにすぎなかったのが,「臨終版」と称される 91~92年の第9版には 400編余を収めるにいたっている。詩人自身は本書を長い年月をかけて完成した大伽藍や,年輪を重ねて生長していった大木にたとえているが,初めから総合的計画のもとに着々と完成していったものではなく,版ごとに詩の配列を変えたり,詩の題や語法,モチーフまでをもさまざまに変えて歌ったものである。しかし 81年の第7版以後は,ただ新しい詩を「付録」として加えるにとどまった。その中心は一種の神秘主義を基調とした人間の生命への賛歌であり,なかでも「僕自身の歌」 Song of Myselfは,形式面でも従来の伝統を破ったばかりでなく,既成観念に反して肉体や生命を大胆にうたい上げたものとして有名。発表当時はほとんど理解されなかったが,自由詩の確立をはじめ後代の詩にはかりしれない影響を与えた。

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デジタル大辞泉の解説

くさのは【草の葉】

《原題Leaves of Grassホイットマンの詩集。1855年初刊。以後、増補・改筆。普遍的な人間性や民主主義の精神をうたう。

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百科事典マイペディアの解説

草の葉【くさのは】

ホイットマンの詩集。《Leaves of Grass》。日常語と自由詩形によって愛・死・肉体・同胞愛・自我意識,トランセンデンタリズムを体現しつつ歌ったもの。さまざまな事物を無差別に歌いこむ〈カタログ〉技法に特徴がある。

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世界大百科事典 第2版の解説

くさのは【草の葉 Leaves of Grass】

アメリカの詩人ホイットマンの詩集。1855年に出た初版はわずか12編の無題詩から成る95ページの本だったが,以後版を改めるごとに新しい詩が加えられ,最後の第9版(1892)には402編が収められている。量的な違いだけでなく,初版では伝統の詩法を無視した表現やイメージが,とめどなくあふれ出る〈溶岩〉のように奔放に歌い上げられていくのに,第3版(1860)になると,かつてのような世界との親密な一体感は失われ,詩人は越えがたい亀裂を嘆き始める。

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大辞林 第三版の解説

くさのは【草の葉】

ホイットマンの詩集。1855年初版刊行以後、増補を繰り返して四百編に及ぶ。霊肉の神秘的一致や、民主主義の本義をうたう。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

草の葉
くさのは
Leaves of Grass

アメリカの詩人W・ホイットマンの詩集。1855年に世に出た初版は、12編の無題詩を収めたわずか95ページの小冊子ながら、伝統的詩法や素材を無視して、新しいアメリカの理念と現実を歌い上げている。その「野蛮な絶叫」ゆえに当時の世評は、エマソンなどごく少数の好意的な批評を除くと、まったく冷淡だった。改筆、増補、削除の努力は改版のたびに重ねられ、現在流布している最後の第9版(1892)は、400編余りを収める大部の詩集となっている。なかでも初版の巻頭長編詩(のちに『ぼく自身の歌』と題す)は代表作で、彼の精神の多様さと広がりをよく表している。第3版(1860)に登場する『アダムの子ら』と『カラマス』は愛と友情をたたえる詩群で、『はてしなく揺れる揺りかごから』は叙情詩の佳作。ほかに南北戦争を素材とする詩群『軍鼓のひびき』、リンカーン大統領の死を悼(いた)む挽歌(ばんか)『先ごろ前庭にライラックが咲き』がある。晩年の作品としては、南北戦争後の物質万能の世相を嘆き、精神の優位を訴える『インドへ渡ろう』が注目される。この詩集はアメリカ詩の清冽(せいれつ)な源流を形成するばかりでなく、自由闊達(かったつ)なアメリカ精神の代表的表現ともいえるだろう。[酒本雅之]
『杉木喬・鍋島能弘・酒本雅之訳『草の葉』全3冊(岩波文庫)』

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世界大百科事典内の草の葉の言及

【アメリカ文学】より

…彼に親炙(しんしや)したソローは,エマソンの説を自ら森の中の生活によって実践,その記録《ウォールデン》(1854)で物質主義化したアメリカに警鐘を鳴らした。またホイットマンは詩集《草の葉》(初版1855)で,あらゆるものの中に聖なるものを見るエマソン思想を発展させ,アメリカとアメリカの人間の生命を力強くうたった。この間,超越主義の仲間に一時は加わりながらもピューリタンの伝統に立つところの多かったホーソーンは,《緋文字》(1850)などによって人間の心に秘められた罪の意識の諸相を探り,心理のひだを象徴的に描いた。…

【ホイットマン】より

…その具体的な過程をたどることは困難だが,彼がこの時期に政治家の裏切りや腐敗に憤激して書いた数編の詩が,すでにのちのホイットマン詩のリズムや詩法を予告していることから察しても,この転身の〈奇跡〉が政治世界での挫折と深くかかわっていることは確かである。 のちにアメリカ詩の源流の一つとされる詩集《草の葉》が世に出たのは,55年7月上旬であった。初版はわずか95ページ,著者の名前も見当たらず,冒頭におかれた長い序文に12編の無題詩がつづいていた。…

※「草の葉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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