メムノンの巨像(読み)メムノンのきょぞう(英語表記)Memnōn

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メムノンの巨像」の意味・わかりやすい解説

メムノンの巨像
メムノンのきょぞう
Memnōn

エジプトルクソールのナイル川西岸にある高さ 15mの1対の巨像。石灰岩製で倚坐の姿をとっており,顔や腕の一部は欠けている。第 18王朝のアメンホテプ3世 (在位前 1417~1379) の像で,本来は同王の豪壮葬祭殿の塔門の前に安置されていたが,塔門などの建物は現存しない。この像は前 27年の地震でひび割れが生じてから,暁に悲鳴に似た音を発するところから,ギリシア神話トロイ戦争に出てくるエチオピアの英雄メムノンが,アキレウスに討たれてこの石像に姿を変え,毎朝母エオスを慕って漏らす声とも,母エオスが悲壮な死をとげた息子を偲んでむせび泣く声ともいわれるようになり,一躍有名になった。「メムノンの巨像」と呼ばれるゆえんである。

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