エジプト南部、上エジプトのナイル川東岸にある観光都市。古代エジプトでもっとも栄えたテーベの都の地で、ルクソール神殿など壮大な遺跡群があり、ナイル観光の拠点となっている。人口15万3758(1996)。ナイル川のキーナ屈曲部の始点に位置し、カイロから鉄道、道路のほか空路の便がある。ナイル川東岸の遺跡群はルクソール市街と北方3キロメートルのカルナックとの間に広がっている。エジプト古王国時代には小村にすぎなかったが、中王国時代になりテーベを本拠とするアンテフ1世が古王国のあとの混乱を収め、メントゥホテプ2世が上・下エジプト再統一を達成すると、その首都となった。中王国のあとヒクソスが侵入し、ふたたび混乱期に入ったが、テーベを本拠地とする領主が勢力を伸ばし、アフメス1世のときヒクソスを駆逐し新王国時代となった。中王国・新王国時代のテーベは、地域神から国家神となったアメン神の総本山として、またエジプトの首都として繁栄し、古代オリエントの中心都市となった。ルクソール神殿は、第18王朝のアメンヘテプ3世が建立し、第19王朝のラムセス2世らが増築したもので、カルナックのアメン大神殿のアメン神がオペット祭に臨むため訪れる場所であり、高さ16メートルの円柱列がみごとである。ナイル川沿岸にはホテルが並び、暑さの和らぐ冬に外国人観光客が多く訪れる。対岸には、ツタンカーメン王墓がある王家の谷やハトシェプスト女王の葬祭殿などがあり、観光用フェリーが出ている。1979年ルクソール神殿を含めた遺跡地域が世界遺産の文化遺産に登録された。
[藤井宏志]
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