日本大百科全書(ニッポニカ) 「メラネシア諸言語」の意味・わかりやすい解説
メラネシア諸言語
めらねしあしょげんご
太平洋上のアドミラルティ、ビスマーク、ソロモン、サンタ・クルーズ、ニュー・ヘブリデス、ニュー・カレドニア、ロイヤルティ(ロアヨーテ)、フィジーの各諸島、ニュー・ブリテン、ニュー・アイルランドの各島、サレラ(旧ヘールフィンク)湾以東のニューギニア海岸部で話される450以上といわれる言語群の総称。オーストロネシア語族の東マライ・ポリネシア語派のうち、オセアニア語派に属する。マレー語などの西マライ・ポリネシア諸語と比べると、一般に語末の子音を失って開音節となった語をもつものが多く(例:「道」はマレー語jalan、フィジー語sala)、音組織も単純化している。以下は標準フィジー語を例にして述べる。母音はi,e,a,o,uの5個、子音はt,k,b[mb],d[nd],g[ŋg],v[β],s,c[ð],m,n,g[ŋ],l,r,dr[n]の14個、半母音はw,yの2個である。性、数、格、時制についての名詞、動詞の語形変化はない。文法関係は小詞および接尾辞、ならびに語順によって示される。主語、目的語が代名詞でない場合、語順は動詞+目的語+主語である(例:Era aa rai-ca na yelewa na gone「彼ら―過去―見る―他動―その―女―その―子供」すなわち「その子供たちはその女を見た」)。一般にメラネシア諸語には所有表現、動詞用法などに特徴をもつものが多い。
[杉田 洋]