モデル理論(読み)モデルりろん(英語表記)model theory

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モデル理論」の意味・わかりやすい解説

モデル理論
モデルりろん
model theory

考察の対象間になんらかの相似,類比,同型などの関係が見出されるモデルを設定し,これを解析することを通じ,直接把握しがたい現象の解明に資する理論。したがって方法としては一種の仮説演繹法であり,狭義には特に数学を利用し演繹的に構成される体系をモデル理論という。しかし実際への適用過程,結果の検証までを含めて扱われることが多い。方法自体としての歴史は古く,比喩的表現,アナロジーによる分析はモデル理論の萌芽といえよう。最近数理科学発達を受け数学的モデルの援用が盛んとなり,加えてコンピュータの開発の結果,シミュレーション的手法が広く用いられている。このようなモデルにより複雑な社会経済現象や直接分析が困難な生命現象にも理論的接近が可能になりつつある。モデル理論の有効性は,さまざまな対象の領域をこえて適用可能な点にあり,しかも数学などの理論としてそれ自体展開可能なことにある。もっとも数学,物理学は元来モデル理論的性格を強く有する学問であり,特に群論などの代数系モデル,図形の位相的性質を扱うトポロジー,さらに量子力学の素粒子モデルなどは,現在でも理論的開発が続けられている。

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