モノコード(読み)ものこーど(その他表記)monochord 英語

デジタル大辞泉 「モノコード」の意味・読み・例文・類語

モノコード(monochord)

両端を固定して1本の弦を張った単弦器。振動を利用して楽器として、あるいは音の実験に用いる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「モノコード」の意味・わかりやすい解説

モノコード
ものこーど
monochord 英語
monocorde フランス語
monocordo イタリア語

1本の弦を張り、その振動を利用する楽器、器具モノコルドともいう。弦鳴楽器の始源ともみるべきこの種の楽器は、アジアやアフリカの楽弓や一絃琴(いちげんきん)をはじめとし世界各地でみられるが、ヨーロッパでもすでに紀元前5世紀の古代ギリシアの音律論のなかに記述がある。これはピタゴラス発明といわれるもので、共鳴器の上に1本の弦を張り、駒(こま)を動かして弦長を変え、求める音高を得る。中世以降、楽器というより正しい音程や基準音を示すための音律測定具として用いられ、近代の電気的・電子的測定機器が実用化される19世紀末までは、演奏現場、教育、音楽研究などの領域で使われた。また中世後期以後は複数の弦で和音も奏せるもの(ポリコードpoly-chords)もつくられた。

[川口明子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モノコード」の意味・わかりやすい解説

モノコード
monochord

古代ギリシア人やのちの音楽理論家によって音程をはかる用具として用いられた一弦琴木製の目盛りのついた長い共鳴箱の上に1本の弦を張り,目盛りに合せて駒を移動させて各音程を把握するようになっていた。中世ではマニコードと呼ばれて楽器として扱われ,次第に弦をふやしてクラビコードに発達した。

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世界大百科事典(旧版)内のモノコードの言及

【クラビコード】より

…鍵盤をもつ弦鳴楽器としては最も古く,構造も簡単で音量も小さい。クラビコードは音律測定用に使われたモノコードmonochord(モノコルドともいい,1本の弦を張り,その振動を利用する楽器または器具)が発展したものといわれる。同時に複数の音が出せるように弦の数が増やされ,駒を動かさなくても求める音の高さが得られるように,オルガンからヒントを得て鍵盤が備えつけられた。…

※「モノコード」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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