モルグ街の殺人(読み)もるぐがいのさつじん(英語表記)The Murders of the Rue Morgue

日本大百科全書(ニッポニカ) 「モルグ街の殺人」の意味・わかりやすい解説

モルグ街の殺人
もるぐがいのさつじん
The Murders of the Rue Morgue

アメリカの詩人・作家、ポー最初の短編推理小説。1841年4月発表。パリ、モルグ街のアパルトマン2階で母親と娘が惨殺されるが、犯人手掛りをつかめないまま、迷宮入りになろうとする。そこへ素人(しろうと)探偵デュパンが登場し、多くの人が妙な声を聞いたこと、凶悪殺人事件にしては動機が欠けていること、2階の窓からしか侵入経路がないこと、娘の首を絞めた手の跡が異常に大きいことなどから、真犯人が人間でなくオランウータンである事実をつきとめる。これは密室トリックを利用し、素人探偵を登場させ、本格的推理手順を踏んで事件を解決する世界最初の推理小説である。

[八木敏雄]

『八木敏雄訳『黄金虫・黒猫・アッシャー家の崩壊他五篇』(講談社文庫)』

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