日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
モーダーゾーン・ベッカー
もーだーぞーんべっかー
Paula Modersohn-Becker
(1876―1907)
ドイツの女流画家。ドレスデンに生まれ、ブレーメン近郊ウォルプスウェーデ芸術家村で没した。1896~97年ベルリン女流画家同盟の画学校に学び、98年に自然叙情派のウォルプスウェーデ芸術家村に移住、1901年同派の画家モーダーゾーンOtto M.(1865―1943)と結婚する。1900年以降、数度のパリ滞在でセザンヌ、ゴーギャンの絵画を知り、これを単純な形態と強固な絵肌をもつ風景、静物、人物画に生かし、自然叙情派の域を超えて表現主義の到来を予告した。代表作に『椿(つばき)の枝をもつ自画像』(1907、エッセン、フォルクワング美術館)がある。詩人リルケは夭折(ようせつ)したこの女友達のために『鎮魂歌』を書いている。
[野村太郎]