日本大百科全書(ニッポニカ) 「モーリッシュ」の意味・わかりやすい解説
モーリッシュ
もーりっしゅ
Hans Molisch
(1856―1937)
オーストリアの植物学者。ブリュン(現、チェコのブルノ)の園芸家の子として生まれる。父はメンデルと親交があった。ウィーン大学で植物学を学ぶ。同大学助手、私講師を経て、グラーツ高等工芸学校、プラハ大学、ウィーン大学の教授を歴任。1922年(大正11)東北帝国大学の招きで来日し、1923年度は植物解剖学、1924年度は植物生理学を講義した。1925年に帰国後、ウィーン大学総長(1926~1927)、ウィーン学士院副院長(1932~1937)を務めた。植物解剖学、細胞生理学、とくに植物顕微化学の各分野で多くの業績を残し、発光細菌や温泉微生物の研究も行った。糖類を検出するモーリッシュ反応に彼の名が残されている。
[檜木田辰彦]
『渋谷章著『回想のモーリッシュ』(1979・内田老鶴圃新社)』