ヤベイナ(その他表記)Yabeina

改訂新版 世界大百科事典 「ヤベイナ」の意味・わかりやすい解説

ヤベイナ
Yabeina

高等有孔虫フズリナ目ネオシュワゲリナ科の1属で,属名は1914年フランス人J.ドプラによって矢部長克を記念して名付けられた。日本人にささげられた化石属名としてはもっとも古いものであろう。模式種はヤベイナ・イノウエイY.inouei。岐阜県赤坂産のヤベイナ・グロボーサY.globosaなど約40種を含む。フズリナ類のうちで内部形態のもっとも複雑なもの。外形球形または膨れた紡錘形で,大きなものは短径でも1cm以上になる。隔壁のほかに旋回軸に平行,およびそれに直交する副隔壁をもつことではネオシュワゲリナと同じであるが,ヤベイナではさらに二次的副隔壁が外壁から室内にいくつも垂れ下がっている。したがって,殻の正切断面でみると細かな格子状構造が認められる。ネオシュワゲリナに引き続き二畳紀後期に出現した。レピドリナLepidolinaとともにネオシュワゲリナ類の最後の属で,二畳紀の終末をまたずに後継者を残すことなく絶滅した。分布域はテチス海全体に及ぶが,例外としてアメリカ,テキサス州にも産出する。
フズリナ
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤベイナ」の意味・わかりやすい解説

ヤベイナ
Yobeina

原生生物界有孔虫門ネオシュワゲリナ科の化石属。殻は大きく,紡錘形。殻壁は薄く外壁と蜂窩壁の 2層構造で,進化した種では後者はきわめて薄くなる。ペルム紀後期の示準化石。(→有孔虫類

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