示準化石(読み)シジュンカセキ(その他表記)index fossil
key fossil

デジタル大辞泉 「示準化石」の意味・読み・例文・類語

しじゅん‐かせき〔‐クワセキ〕【示準化石】

地層対比地質時代決定に役立つ化石生存期間が短く、地理的に分布範囲が広いものが用いられる。古生代フズリナ中生代アンモナイトなど。標準化石

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精選版 日本国語大辞典 「示準化石」の意味・読み・例文・類語

しじゅん‐かせき‥クヮセキ【示準化石】

  1. 〘 名詞 〙 地層の時代を決定するために役立つ化石。地質時代のある短い時代に広地域に生存していた生物の化石である、三葉虫(古生代)、アンモナイト(中生代)など。標準化石。

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改訂新版 世界大百科事典 「示準化石」の意味・わかりやすい解説

示準化石 (しじゅんかせき)
index fossil
key fossil

産出した地層の対比を行い,さらにその地質年代を決定するのに用いられる化石。標準化石ともいう。示準化石としては,通常化石属ないし化石種を指すことが多い。地域に分かれて分布する地層群の中に示準化石を含む地層を追跡して,地域間の対比をする生層位学の方法は19世紀前半に確立されたが,これはそれらの化石となった古生物の属や種の生存期間の枠で,地層が形成された時期の同時性をおさえるという単純な原理に基づいている。したがって示準化石として望ましい条件としては,(1)層位的分布の幅が狭いこと,言い換えればその古生物の生存期間が短いこと,(2)地理的分布が広いこと,(3)古生物として環境適応性に富んでいて,化石としてはいろいろな種類の堆積岩から産出すること,(4)産出頻度が高いこと,(5)形態的特徴がわかりやすく,他のものとの識別が容易であることなどがあげられる。このような条件をすべて満たすものはきわめて少ないが,それぞれの時代において著しい進化発展を遂げた古生物が示準化石となっている。例えば,古生代においてはカンブリア紀三葉虫類,オルドビス紀シルル紀筆石類,石炭紀~二畳紀のフズリナ類,あるいは古生代でもとりわけ前半期の腕足類,中生代においては全期を通じてのアンモナイト類,新生代に入ってヌンムライトなどの第三紀の大型有孔虫などが古くから重要視されてきた。これらはすべて海生動物であるが,陸生動物の中にも大型哺乳類のように,急速に進化しつつ広域に移動分布したものは示準化石として用いられている。先にあげた海生動物の場合,大部分は底生生活者であるが,筆石類やアンモナイト類の一部のように浮遊性や遊泳性のものもある。前者と比べて後者のような習性の生物の方が局地的な海底環境条件に支配されることが少なく,広域に分布するという特徴がある。また進化速度が速く,属や種としては短命なものが少なくない。近年浮遊性生物の微化石は示準化石として重視される傾向にある。これらは陸上と海底とを問わず海成堆積物の広域対比やその年代決定に用いられ,さらに石油・天然ガス資源などの存在状態を知るのに必要な,地下の地質構造の解明のような応用方面でも重用されている。主要な種類としては,石灰質の殻を持つ浮遊性有孔虫白亜紀~新生代),石灰質ナンノプランクトン(コッコリスジュラ紀~新生代),ケイ酸質の骨格や殻を持つ放散虫(カンブリア紀~新生代),浮遊性ケイ藻(白亜紀~新生代),ケイ質鞭毛藻(白亜紀~新生代),セルロース質の表皮を持つ浮遊性渦鞭毛藻(シルル紀~新生代)などがあげられる。カンブリア紀に出現し,三畳紀末に絶滅した微化石として知られるコノドントは,示準化石として広く用いられているが,これを残した古生物の正体についてはいまだに不明な点が多い。しかし,これも浮遊性ないし遊泳性動物であったと推定されている。
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百科事典マイペディア 「示準化石」の意味・わかりやすい解説

示準化石【しじゅんかせき】

標準化石とも。その化石を産出する地層が,どの地質時代に属するものであるかを示す化石。地層の時代決定に役だつ。示準化石であるためには,その種の生存期間が明確にわかっていること,生存期間が短いこと,分布の範囲が広いことなどが条件である。古生代の三葉虫,中生代のアンモナイト,新生代の貨幣石などが代表例。→示相化石
→関連項目アンモナイトイノセラムス化石貨幣石コノドントサンゴ(珊瑚)地質系統トリゴニア筆石有孔虫

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「示準化石」の意味・わかりやすい解説

示準化石
しじゅんかせき
index fossil

標準化石ともいう。ある特定の地質時代を指示する化石。化石による時代算定は 19世紀の初頭 W.スミスが,イギリスのジュラ系のなかで,層準によって異なる種類のアンモナイトが産出し,一定の種はある地層群だけに限られることを証明したことに始る。その後,各地において示準化石で地層の特徴づけを行い,かつ化石の産出順序も広範囲にわたって共通していることから,化石による地質年代決定が確立された。示準化石としての価値は,その分布が地域的に限定されず,汎世界的であり,かつその分布も短時間でなされるものが適している。たとえば海流により広く分布する浮遊性有孔虫,放散虫,幼期に海流で浮遊するアンモナイト,移動力の大きい大型哺乳動物が使われる。また進化の速度が速く,生存期間が短いことが望ましい。示準化石により生存帯が確立され,さらに地質時代の年代区分が行われる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「示準化石」の意味・わかりやすい解説

示準化石
しじゅんかせき

標準化石

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世界大百科事典(旧版)内の示準化石の言及

【化石】より

…化石帯はいろいろの基準により定義されるが,化石の組合せや特定化石の層位的産出範囲(古生物の生存期間)に基づくものが多い。このように,それが含まれている地層を認定し,年代を決定するのに用いられる化石を示準化石という。
【古生態と古環境】
 化石化した古生物とそれが生息していた環境との関係を扱う古生物学の分野が古生態学である。…

※「示準化石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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