ユモトマムシグサ(読み)ゆもとまむしぐさ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユモトマムシグサ」の意味・わかりやすい解説

ユモトマムシグサ
ゆもとまむしぐさ / 湯元蝮草
[学] Arisaema nikoense Nakai

サトイモ科(APG分類:サトイモ科)の多年草球茎があり、子球をつけるものが多い。偽茎はやや短く、通常花序の柄の裸出部とほぼ等長で、上端の開口部は襟状に広がらない。葉は1、2枚、葉身は鳥足状の5小葉からなり、小葉間の軸は発達せず、小葉には鋸歯(きょし)があるものが多い。花期は5~6月。花序は葉より先に開く。花序付属体は棒状で柄がある。山地に生え、本州に分布する。葉の数、花序の柄の長さ、仏炎包(ぶつえんほう)の色、付属体の太さには地域差があり、紀伊半島や山梨県、静岡県に分布し、全体が小形のオオミネテンナンショウ、長野県、岐阜県に分布するカミコウチテンナンショウ、日本海側の多雪地帯に分布するハリノキテンナンショウは、東北から中部地方に分布する狭義のユモトマムシグサから区別される。名は、本種の発見地である日光の湯元にちなんだものである。

[邑田 仁 2022年1月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のユモトマムシグサの言及

【テンナンショウ】より

…伊豆諸島に分布するシマテンナンショウA.negishii Makinoもウラシマソウに類縁的には近いもので,球茎は蒸し煮して突き砕きだんごにして食べる。 ほかに日本にはムサシアブミA.ringens (Thunb.) Schott(イラスト),ミツバテンナンショウA.ternatipartitum Makino(イラスト)など3小葉からなる原始的な群と考えられるものや,冷温帯のブナ林を主たる生活領域とする5小葉の通常2枚葉をつけるユモトマムシグサA.nikoense Nakai群,日本海側多雪地帯から大陸部にかけて分布する1枚葉のヒロハテンナンショウA.robustum (Engl.) Nakai(イラスト)をはじめ,葉が1枚になった特殊なツクシマムシグサA.maximowiczii (Engl.) Nakai,オモゴウテンナンショウA.iyoanum Makino,セッピコテンナンショウA.seppikoense Kitamuraなど地方的な固有種など,多くの種が分化している。テンナンショウ属は東アフリカ,東アジアからマレーシア,それに北アメリカ東岸域に150種以上が知られており,ヒマラヤ東部から中国南部にかけての山地域で最も多様な分化をしている。…

※「ユモトマムシグサ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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