ゆるキャラ(読み)ゆるきゃら

共同通信ニュース用語解説 「ゆるキャラ」の解説

ゆるキャラ

自治体や特産品などのPR目的にした「ゆるいキャラクター」。作家のみうらじゅんさんが命名し、2004年に「ゆるキャラ大図鑑」を出版した。06年に誕生した滋賀県彦根市の「ひこにゃん」がブーム火付け役となり、全国で次々に新たなキャラクターが登場。日銀熊本支店によると、熊本県の「くまモン」は、11年11月からの2年間に県内へ1244億円の経済効果を及ぼした。

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知恵蔵 「ゆるキャラ」の解説

ゆるキャラ

「ゆるいキャラクター」の略。地方自治体や町おこしイベントなどのご当地マスコットキャラクターを指すことが多い。緊張感が無く、のんびりとした雰囲気を漂わせていることからこう呼ばれるが、それが「かわいい、癒される」と人気を呼び、ブームを巻き起こしている。彦根市の「ひこにゃん」、奈良県の「せんとくん」などが有名。その他、北海道の「夕張夫妻」、長崎県の「佐世保バーガーボーイ」など、自治体や地方団体の独自のセンスが光っているのが特徴だ。
ご当地キャラクターは以前から存在しており、地方の各種イベントなどに用いられていたが、それらが「ゆるキャラ」として全国の注目を浴びるきっかけとなったのは、2010年に奈良県で開催される「平城遷都1300年祭」のマスコットキャラクターをめぐる騒動。奈良県は08年、このイベントの公式キャラクターとして、鹿の角をたくわえた童子のような「せんとくん」を発表。しかし一部の県民から「気持ち悪い」との声が上がり、仏教界からも「仏を侮辱している」との批判がわき上がった。その後、奈良県のクリエーター集団が「まんとくん」、仏教団体が「なーむくん」というキャラクターを次々と考案し、ゆるキャラ戦争のような様相を呈したことで世間の話題をさらった。
ゆるキャラの集客力は芸能人並みで、イベントへの観客動員やPRなどに絶大な効果を上げている。オリジナルグッズをはじめ、テーマソング、書籍などを発売するキャラクターも出始めた他、09年3月には「ゆるキャラ音頭(歌・橋幸夫)」もリリースされるなど、ブームは過熱の一途をたどっている。また08年10月には「ゆるキャラまつりin彦根~キグるミさみっと2008」が開催されており、全国から46体のゆるキャラが集結。2日間で4万6千人を動員した。なお、このイベントは09年にも開催予定で、100体のゆるキャラ出場が見込まれている他、「ゆるキャラ」という言葉を考えだしたイラストレーター・みうらじゅんも出席する予定だ。

(高野朋美 フリーライター / 2009年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゆるキャラ」の意味・わかりやすい解説

ゆるキャラ
ゆるきゃら

「緩(ゆる)いマスコットキャラクター」の略で、多くのゆるキャラは、地方公共団体や地域イベントなどのイメージキャラクター(ご当地キャラ)として誕生している。のんびりとして力が抜けるような雰囲気を醸し出すものが多く、ユニークな着ぐるみ姿で催しに登場して会場の雰囲気を盛り上げたり、特産品などの販売促進に一役買っている。ゆるキャラというよび方は、2004年(平成16)に扶桑社から発行された、みうらじゅん(1958― 、イラストレーター)の『ゆるキャラ大図鑑』によって広く認知されるようになった。この本では自治体などの緩いご当地キャラ、100体が紹介された。「ゆるキャラ」は、扶桑社とみうらじゅんによって商標登録されたが、これは営利を目的とした第三者による登録や使用制限などを防ぐ目的であることが公言されており、地方公共団体が使うことに問題はないとしている。

 もともと名所や特産品をイメージ化した同様のキャラクターは存在していたが、癒(い)やし系や脱力系などとよばれて、2000年ごろから徐々に話題になるようになった。「ゆるキャラグランプリ」が2010年から2020年(令和2)まで毎年開催され、ピークを迎えた第6回(2015)には、全国から1727体がエントリーした。

[編集部 2022年10月20日]

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