ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「熊本県」の解説
熊本〔県〕
くまもと
人口 178万6170(2015)。
年降水量 1985.8mm(熊本市)。
年平均気温 16.9℃(熊本市)。
県庁所在地 熊本市。
県木 クスノキ。
県花 リンドウ。
県鳥 ヒバリ。
九州の中央部に位置し,北は福岡県,大分県,東は宮崎県,南は鹿児島県に接し,西は八代海と島原湾,天草灘に面する,天草諸島を含めた県。北東部は世界有数の規模をもつカルデラ火山阿蘇山を中心に台地,山地が広がり,南東部は九州山地が北東から南西に山地帯を形成。西部に宇土半島が突出する。半島に連なる天草諸島は一般に丘陵性の山地で,海岸は沈降性。菊池川,白川,緑川,球磨川が西流し,流域に菊池平野,熊本平野,八代平野を形成する。気候は一般に温暖で,天草諸島の沿岸部は海洋性を示し,亜熱帯性植物も見られる。これに対し,熊本地方は大陸性気候で,寒暑の差が大きい。降水量は北部は梅雨期,南部は台風期に多い。古くは火国,肥国ともいわれ,大化改新で大宰府の直轄地となった。のち肥後国となり,鎌倉時代には菊池,阿蘇,相良 (球磨に入り,人吉を明治期まで支配) ,戦国時代には大友,島津などの諸氏が割拠。豊臣秀吉の九州統一後は,肥後は佐々成政,加藤清正らの支配を経て,のち細川氏の統治するところとなる。廃藩置県で熊本県と人吉県とが誕生。のち白川県を経て 1876年熊本県と改称。林業では球磨地方のヒノキ,小国地方のスギが有名。農業は肥後米を中心にイグサ,スイカ,メロン,トマト,タバコ,ミカン,クリなどの栽培,阿蘇山周辺の広い原野では肉牛の飼育が行なわれる。天草を中心とする沿岸部ではノリ,クルマエビ,真珠,ハマチ,タイの養殖が盛ん。工業は従来,原料立地型のものが多く,遅れていたが,最近は重化学工業の比率もふえ,内陸に電機,輸送機械などの大企業も進出。 JR鹿児島本線,九州自動車道,国道3号線が通じ,福岡県との関係が深く,また別府阿蘇道路と JR豊肥本線で大分県と結ばれる。 2004年3月には九州新幹線が一部開業し,鹿児島県へのアクセスが便利になった。また,鹿児島本線の八代-川内 (鹿児島) 間については鹿児島県や沿線自治体と第三セクターの肥薩おれんじ鉄道を設立し,運営を引き継いでいる。阿蘇くじゅう,雲仙天草の2国立公園,耶馬日田英彦山,九州中央山地の2国定公園,五木五家荘など七つの県立自然公園ほか観光地や史跡も多い。
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