改訂新版 世界大百科事典 「ユーロパ」の意味・わかりやすい解説
ユーロパ
Europa
木星の第Ⅱ衛星。1610年,G.ガリレイによって発見され,ギリシア神話の王女エウロペにちなんで名付けられた。木星中心から67万1120km(木星半径の9.40倍)のところをほぼ円軌道を描いて3.551181日で公転している。半径は1565km,質量は4.789×1025g(木星の2.5219×10⁻5倍)で平均密度は2.99g/cm3と求められる。惑星探査機ボエジャー1,2号が撮影した写真で,表面は厚い氷の層に覆われていることがわかった。氷の層の厚さは100kmにも及ぶが,これは木星の潮汐力で生じた熱により内部の水分が表面におし出され,再び凍ったものと考えられる。クレーターが見えないのは氷の下にとじこめられているからで,そのかわり下層の黒い物質がにじみ出してきたと見られる複雑な暗い筋が表面全体を覆っている。
執筆者:田中 済
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報