日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨウシュヤマゴボウ」の意味・わかりやすい解説
ヨウシュヤマゴボウ
ようしゅやまごぼう / 洋種山牛蒡
[学] Phytolacca americana L.
ヤマゴボウ科(APG分類:ヤマゴボウ科)の多年草。北アメリカ原産の帰化植物で、至る所に野生化している。アメリカヤマゴボウともいう。茎は無毛で高さ約2メートルに達し、紅紫色を帯び、上方で細く分枝して四方に広がる。葉は短柄があり、卵状楕円(だえん)形で長さ10~30センチメートル、先端、基部ともにしだいにとがる。6~10月、長さ約15センチメートルの総状花序をつくり、微紅色を帯びた白色の小花をまばらに開く。花被片(かひへん)は5枚、雄しべは10本。雌しべは子房は10室、心皮は5個。花序は果実期に垂れ下がる。果実は扁球(へんきゅう)形の液果で紅紫色、種子は扁平で光沢がある。
古くから果汁を絹や紙の染料として用い、俗にインクベリーともいう。果実と根に強い毒を含むが、根には樹脂、硝石配糖体を含み、欧米ではリウマチの変質剤、吐剤として用いる。近縁のヤマゴボウによく似るが、ヤマゴボウは花序が直立し、心皮が8個なので区別できる。
[小林純子 2021年2月17日]